将来、自分の街が消滅するかもしれない。そんな分析結果を今月24日、有識者グループが発表しました。日本全体の4割を超える744の自治体が「消滅の可能性がある」とされ、鹿児島県内でも全体の3割にあたる15の市町村が対象となりました。

「消滅する可能性がある」とされた自治体はどう受け止め、人口を維持するには何が必要なのでしょうか?

有識者らでつくる「人口戦略会議」が24日に公表した「将来、消滅する可能性がある」自治体。分析では、「女性が減ると出生率が下がり、人口が減り続ける」とし、20代から30代の女性が2050年までの30年で半分以上減る市町村を「消滅可能性自治体」としました。

鹿児島県内では全43市町村のうち、阿久根市や南大隅町など、15の市町村が「消滅の可能性がある」とされています。その中で、10年前の前回予測から若い女性の減少率が唯一悪化したのが、さつま町です。30年後には60%近く減ると予想されています。

(さつま町民)「ふるさとがなくなるのは、さみしいことだと思う。家族を築きやすい環境になれば」

(さつま町民)「都会に出て行った友達が多い。自分も今は地元にいるが将来的にはわからない。もう少し町が発展したほうがみんな残ると思う」

この予測に、町長の受け止めは…

(さつま町・上野俊市町長)「改めて厳しい数字だと感じた。女性が働く場の確保が必要」

一方、奄美大島・宇検村は、若い女性の減少率が20%未満で、県内で唯一、「自立持続可能性がある自治体」とされました。

(宇検村・元山公知村長)「驚きながら大変よろこんでいる。宇検村にきた移住者を歓迎する村民性がつながって、総合的に結果が出たのかな」

状況が改善した理由について、山村留学の推進やUターンの受け入れなどを挙げましたが、「はっきりとした理由は分からない」としています。村民の受け止めは様々です。

(宇検村民)「すごいこと。若い人もいるので大丈夫」

(宇検村民)「ちょっと信じられない。全体的に見ていても人口は減っているので、持続可能な村に選ばれたのが不思議」

宇検村のように、前回調査で「消滅可能性自治体」とされ、今回、そこから脱却した自治体も15市町村ありました。

脱却できた理由について、このうち、長島町は「町に戻って定住すると、元金・利息が無料になる独自の奨学金制度や、給食費の無料化など、子育て政策の効果が出た」とみています。
大崎町は20~30代女性の外国人技能実習生の増加も理由に挙げていました。

消滅可能性から脱却できなくても、改善傾向も多く見られたことについて、東京都立大学の山下教授は、この10年で日本全体で起きた変化があると言います。

(東京都立大学 山下祐介教授)「全国的にも10年前より地方移住の流れが動いている。若い人の中で、子育てのために小さな町村に移るのは西日本では珍しくなくなっている。一定の(良い)流れが着実にできた10年でもあった」

そのうえで山下教授は、人口減少の原因は少子化とし、国全体で子どもを生み、育てたい人の希望がかなう環境を整えることが重要だといいます。

(東京都立大学 山下祐介教授)「結婚したい人ができていない。みんなの希望をかなえることが大切。鹿児島全体でいうと、バランスよく暮らしを建て直せば、恐れることはない」

「人口戦略会議」は今回の分析結果を、「各地域の人口の実情と課題を考えるうえで参考にしてほしい」としています。