荒茶の生産量で全国2位の鹿児島。鹿児島のお茶に魅せられ、ドイツから鹿児島に移住した男性がいます。昔ながらの急須でいれる茶葉の消費量が年々減る中、男性をとりこにした鹿児島茶の魅力とは?

ドイツ・フュルステナウ出身で、鹿児島市で暮らす崎村ヴァルデマーさん(35)です。緑茶の製造・販売を行う鹿児島市の「下堂園」で、アメリカやオーストラリアなど海外への茶葉の販売などを担当しています。

この日は、ドイツの子会社の社長が南九州市の茶畑を訪れ、崎村さんが案内しました。

崎村さんの日本との出会いは、高校生の時。仏教に興味を持ったことがきっかけでした。大学時代に長崎の大学に留学し、日本語を専攻しながら、独自で座禅や瞑想について研究していました。

卒業後は母国・ドイツで、スーパーなどで働いたあと、転機が訪れたのは2年前。鹿児島茶を販売するドイツの下堂園の子会社に入社した初日のことでした。

(崎村さん)「先輩が急須でお茶を淹れてくれて、ペットボトルのお茶の味がすると思ったけど、飲んだら何か違う。それでびっくりして」

下堂園によりますと、ヨーロッパではドイツを中心に健康志向などから茶葉を蒸して乾燥させる日本茶を飲む人が増えていて、会社では現在、アメリカやオーストラリアなど21か国で茶葉を販売しています。

鹿児島茶のことを深く知りたいと、考えた崎村さん。日本人の妻と共に去年7月、鹿児島市に移住しました。

(崎村さん)「お茶畑に行って、直接お茶の木に触って、芽を食べてみて、その品種も木を見比べて、荒茶の工場で製造を全部見て。お茶のプロが周りにいっぱいいるから、ものすごく勉強になる。本当に楽しい」

鹿児島茶に魅せられた崎村さん。お茶好きが高じて…。

(同僚)「朝、緑茶からほうじ茶をつくってみたと出勤前に、朝の忙しいときに。本当に好きなんだなと。休日はお茶のPRイベントに行っている」

(崎村さん)「(Q頭の中はほとんどお茶?)本当にお茶だけ。99%かな。あと1%は妻かな(Q奥さまには聞かせられない)聞かせない方がいい」

さらに「美味しいお茶のいれ方」や「おすすめの急須」を紹介する動画を自分で70本以上つくり、SNSでも魅力を発信しています。

一方で、日本国内ではペットボトルなどのお茶の飲料は消費が増えているものの、昔ながらの急須で入れる茶葉の消費量は減少。10年前に比べておよそ23%減少しました。

こうした中でも、2019年に荒茶の生産量で初めて全国トップとなった鹿児島茶。崎村さんは鹿児島茶の魅力を伝えるためには、「体験」が大事だと考えています。

(崎村さん)「できるだけたくさんのイベントを開催して、みんなにお茶を淹れること教えて、インストラクターとかプロがお茶を淹れてあげたら美味しい味を理解できると思うから、体験が大事かなと思う」

実際に、崎村さんがすすめる、美味しいお茶のいれ方を教えてもらいました。

(崎村さん)「(お湯のみ入れて)一度急須を温める。お湯を冷ますためと湯のみを温める」「(飲んで)物足りない。淹れ方によって味も変わったりするから満足はできない」

鹿児島で大好きなお茶に触れ、「日々学びがある」という崎村さん。今後は、お茶の魅力を伝えるインストラクターの資格をとり、お茶をいれる体験イベントやSNSを通じて、その魅力を国内外に伝えたいと話します。

(崎村さん)「すごく奥が深くて、同じお茶の木で、たくさんのお茶が作れるので、可能性が無限にあるので、たくさんの人がわかってほしい」

※崎村さんの「崎」は、たつさき