中・高生が科学のアイデアを競うコンテストで、霧島市の国分高校と鹿児島市の池田高校が全国1位・2位に輝きました。今回は準優勝の池田高校。古い日記を科学の力で読み解くことで、歴史が変わるかもしれない研究です。

中高生を対象とした科学のコンテスト「つくばScienceEdge(サイエンスエッジ)」で鹿児島市の池田高校が、全国306校中、準優勝にあたる「探求指向賞」に輝きました。

コンテストの舞台に立ったのが2年生の中尾文乃さん、小倉心美さん、加藤ほのかさんの3人。授業で取り組んだ研究を発表しました。

(小倉心美さん)「日記を分析して、昔気象台があったらどんな感じだったかを復元した」

生徒たちは、大阪の神社で300年以上前から代々書き継がれた日記に注目。

(3人)「『天キ』と書いてあるのは、『晴れ』の意味。『夕立』とか『晴れ』とか天気が書かれている」

気象台が記録を始めたのは明治以降です。日記には明治より前の江戸時代の天気も記録されていますが、正確性が低いため、池田高校ではこれまで、両方の記録が残る明治時代の天気を照らし合わせ、統計を取ってきました。

そのデータを応用することで、江戸時代の精度の高い天気を復元。今年の研究チームはさらに古い時代の日記を元に、先輩たちのデータを応用し、当時の天気を分析しました。

その方法を教えてもらいましたが…。

「簡単にいうと…」

(鮫島気象予報士)「まったくわかりません。難しいことを成し遂げたということはわかった」

気象予報士の私にも難解でしたが、得られたデータから歴史上の出来事について、新たな発見もあったようです。

(中尾文乃さん)「(グラフは)降水出現率をだしたもの。グラフからわかったことは、飢きんの期間では降水出現率が上がっているということ」

江戸時代には天候が原因で凶作となる「飢きん」が何度かありました。大阪で起こった「大塩平八郎の乱」の原因ともされる「天保の大飢きん」は、長雨や洪水よる農作物の生育不良が理由とされていますが、今回の研究データからも「雨が多い傾向」とわかりました。

また、「天保の大飢きん」は1833年から1839年までとされますが…。

(中尾文乃さん)「1840年ごろまで降水出現率があがっているので、この期間まで飢きんが続いていた可能性がある」

科学的な研究が歴史の新たな発見につながるかもしれない文理融合の研究です。華やかな研究のようですが、普段の作業は意外にも地味だそうで。

「(Q.いつもこんな感じ?)こんな感じ」「この日記の部分をみてひたすらに打ち込んでいっている」

ほぼ毎日書かれた50年分の日記(1万8520日ほどのデータ)を、授業では15人ほどがそれぞれパソコンに向かい、黙々とデータの打ち込みや間違いがないかチェックします。

Q.気が遠くなりそうなデータの量だが?

(3人)「初めて見たときは『全部みるの?』と思ったが、意外とやってみるとそこまでだった」「打ち込んだ後に自分たちでグラフを出すので、グラフを見たときには『こんなになっていたんだ!』と」

指導するのは池田学園の池田由實理事長。生徒と一緒に研究しています。

(池田学園 池田由實理事長)「あっと驚く数値が出たり、データが出たり、子どもたちにも楽しさを感じてほしい。(コンテストでは)審査員から論文の価値ありと」

審査員からも好評だった彼女たちの発表は、全編英語です。

(小倉心美さん)「(Q.英語は得意?)私は苦手。降水出現率とか聞かない単語が多かったので、その単語を調べることからで大変だった」

(加藤ほのかさん)「つくばの大会には海外からの高校も多く参加していたので、その人たちにも伝えられるように」

1か月ほど練習を重ね、池田高校もシンガポールで行われる国際大会への出場権を獲得しました。

(中尾文乃さん)「準備を重ねてのぞみたい」

研究にも発表にも意欲的な生徒たち。次は世界の舞台に挑みます。