先月、茨城県で開かれた、中高生が科学の分野などでアイデアを競う「つくばサイエンスエッジ」。
国内外の306チームの中から、霧島市の国分高校と鹿児島市の池田高校が上位に入賞しました。ニューズナウでは17日と18日、この2校の取り組みを紹介します。
1回目の17日は、最高賞の文部科学大臣賞に輝いた国分高校です。生徒が考えた漁業者を支える小さな装置とは?

(理数科3年 森山心路さん)「文部科学大臣賞と聞いた時に、ええ!1番だって驚きが大きかった」

(理数科3年 松岡恵佑さん)「これまでの頑張りが報われた」

(理数科3年 迫田悠希さん)「やってきてよかったって思いました」

今回、文部科学大臣賞を受賞したのは、国分高校・理数科3年の伊地知夢乃さんをリーダーとする6人。研究テーマは、毎年、大きな漁業被害を出している赤潮です。

(理数科3年 水元あおいさん)「教科書に赤潮の被害が載っていて、赤潮の被害が防げないかなと」

(理数科3年 石崎嵯弥さん)「(県内も)赤潮の被害が1億円ぐらい出ているとニュースや新聞でやっていた」

県内でも今年2月には鹿児島湾で3年ぶりに赤潮警報が発表され、養殖のブリやヒラマサなどおよそ4万5000匹が死に、被害額は1億円余りに上りました。

そもそも赤潮は、人が使った洗剤や農薬、肥料に含まれる窒素やリン酸などが海に流れ込み、それを餌にプランクトンが大量発生する現象です。大量のプランクトンで海中の酸素の量が減ったり、一部のプランクトンが毒を出したりすることで、魚が死んでしまうのです。

赤潮から魚を守るために6人が開発したのが、5センチ角ほどの小さなこの装置。プランクトンのえさとなり、大量発生の原因となる、海中のリン酸の濃度を調べることができます。リン酸の濃度を常にチェックしておくことで、赤潮が発生するリスクを事前に知ることができます。

開発期間は1年ほど。学校にあるリン酸濃度の測定器は1台数十万円しますが、手作り装置の製作費はたったの840円。本体は3Dプリンターで作りました。

(理数科3年 石崎嵯弥さん)「装置ができたので、養殖場の人とかに使ってもらいたいのが最終的な目的」

装置の仕組みはこうです。

リン酸に反応して色が変わる溶液を透明なプラスチック容器に入れます。そこに、赤外線レーザーを当て、溶液を通り抜けたあとの光の強さなどをもとに、リン酸の濃度を割り出す計算式をつくりました。

(理数科3年 伊地知夢乃さん)「私たちのこの方法だったら、高校生でも学校であるもので簡単にできる」

実際に、市内の川や海岸、魚の養殖場で試し、学校にある測定器と性能に差はないかも調べました。

(理数科3年 石崎嵯弥さん)「0.01というすごく小さい誤差で測定ができたので、安いし、これでもう大丈夫だろうと」

霧島市隼人町のヒラメ養殖場です。ヒラメの養殖には大量の海水が必要なだけに、赤潮の発生には警戒しています。

(MBC開発地産事業本部・生産販売部 古賀佳久部長)「養殖場の問題をちゃんととらえてテーマにしていて、トライ&エラーを繰り返して良いものを作っていた、本当にすごいと感心した」

生徒たちの今後の研究にも期待しています。

(MBC開発地産事業本部・生産販売部 古賀佳久部長)「安く簡単にできれば、何回も測れたりとか、例えば自動で測ったりできるようになれば(赤潮の)発生の原因をつきつめていくことができるのでは」「鹿児島ってすごく養殖が盛んなところ、そこに興味をもって進めてもらえたら将来が有望だと思った」

伊地知さんと水元さんは、今年7月にシンガポールで、アジアを中心とした各国の中高生が参加する科学をテーマにした国際コンテストへの出場が決まっています。

(理数科3年 水元あおいさん)「海外の人の研究を見るのもすごく楽しみ。レベルがもっと高いのかなと思うと楽しみ」

(理数科3年 伊地知夢乃さん)「英語でのプレゼン発表に向けて練習を頑張るのと、質疑応答の受け答えもちゃんとできるように準備を進めて、多分、国分高校初となる世界大会の受賞もできるように頑張りたい」