健やかな成長願い70年、守った土俵も少子化の波に抗えず…伝統の市比野相撲、惜しまれつつ千秋楽 薩摩川内市

 2024/05/08 21:29
健康祈願の土俵入りをする赤ちゃん=薩摩川内市の市比野小学校
健康祈願の土俵入りをする赤ちゃん=薩摩川内市の市比野小学校
 鹿児島県薩摩川内市樋脇で70年以上続く市比野相撲大会は5日、市比野小学校の土俵であった。コロナウイルス禍を経て5年ぶりに復活したものの、少子化により今回が最後。地域住民らが多く集まり、“千秋楽”の気合の入った取組に歓声を上げた。

 市比野相撲協会の主催。1946年に青少年育成や地域活性化を目的に始まり、端午の節句に開いてきた。最盛期には観客を含め1000人ほどでにぎわったが、近年は参加者が減少していた。

 最後の大会には幼児から大人まで約60人が参加し、初めて女子の取組も認められた。力強い押し出しなどで勝負が決まると、観客からねぎらいの拍手が送られた。赤ちゃんの健康な成長を願う土俵入りもあった。

 閉会式では、長年大会を支えてきた行司の坂元十郎さん(90)=鹿児島市=へ記念品を贈呈。赤ちゃんの土俵入りから参加してきた樋脇中学校2年の井川奏音さんは「親戚や地域の人が応援に来てくれる大事な大会だった。なくなるのはさみしい」。父で協会長の竜太さん(45)は「続ける努力はしたが、難しかった。最後に多くの人に見てもらえてよかった」と話した。

 近隣では藤本、竹山、上手、野下の他4地域でも大会があったが、先月が最後だった藤本を含め、いずれも幕を閉じている。

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