「眼前に桜島があり、気持ちが大きくなる」と、鹿児島公演を好んだフジコ・ヘミングさんは、演奏ホールの周りに暮らすネコまで気にかけた。温かく気さくな人柄を知るファンらは、永遠の別れを惜しむ

 2024/05/03 06:00
〈イメージ写真〉
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 4月21日に亡くなったピアニスト、フジコ・ヘミングさんは、鹿児島でもしばしば公演しており、2018年には「眼前に桜島があり、気持ちが大きくなる。演奏にも良い影響があり、好きな会場」と、鹿児島への思いを南日本新聞に寄せていた。県内からはしのぶ声が上がった。

 霧島市のピアニスト入来慶子さん(34)は「ピアニストを志す前から、家でCDを聴いていた憧れの人。とても残念」と肩を落とす。数年前に鹿児島市であったコンサートを思いだし「魂の込もった演奏で独自の世界観を作っていた。挫折や困難があっても自分を信じて諦めないというメッセージを感じた」と語った。

 県内でコンサートなどを主催する鹿児島音協(鹿児島市)の満塩正さん(68)は「気さくな方だった」と振り返る。犬猫の愛護活動にも取り組んでおり「公演会場の周りにいる猫にエサをやるため、缶詰を用意するよう事前の手配事項に書いてあった」と、温かい人柄を懐かしんだ。