ごみ焼却炉ない2自治体の挑戦 紙おむつから紙おむつへ…世界初「平行リサイクル」を開始 志布志市と大崎町がユニ・チャームと連携、分別27品目のさらに上へ
2024/05/06 11:02
大崎町の紙おむつ専用回収ボックスを案内する山野利高さん=同町井俣
焼却炉を持たない両自治体は、埋め立て処分場の延命化を図るため、25年以上27品目のごみ分別に取り組む。紙おむつはこれまで埋め立てられる「一般ごみ」として回収してきた。
さらなる延命化を図り、持続可能な開発目標(SDGs)推進を目指すため、一般ごみの約2割を占める紙おむつの再資源化を検討。2016年以降、志布志市、大崎町、そおリサイクルセンター、ユニ・チャームが協定を結び、19年に覚書を締結。これまで4者で再資源化技術の実証実験と、モデル地区での分別収集を行ってきた。
■ ■ ■
志布志市は4月、自治会のごみステーションと校区公民館約500カ所に専用ボックスを設置。うち470カ所分は紙おむつから再生されたプラスチックを配合し作られている。いつでも捨てることができ、週1回回収される。
同市市民環境課は「広報紙や回覧板、説明会などで理解を呼びかけていきたい」としている。
大崎町は156自治会の220カ所にボックスがあり、生ごみ収集日に出すことになっている。町は22年12月、平良(てら)自治公民館で説明会を開催。環境政策課によると、住民からは乳幼児や高齢者用に加え、生理用品、ペット用の取り扱いへの質問があった。後者はいずれも現時点では再資源化の技術面から回収対象には含まれていない。
町衛生自治会の山野利高副会長(64)は「住民は25年の習慣で協力しているが、高齢化でごみ出しや分別が大変になっている人が増えているのが実情。紙おむつも含めて課題を掘り起こし、町に伝えて解決につなげていきたい」と話す。
■ ■ ■
両自治体とも住民は専用袋(10枚入り100円)に入れてボックスに捨てる。紙おむつや尿取りパッド、お尻ふきなどが対象。こまめに捨てられ、家庭での保管期間短縮や分別廃棄が進むとリサイクルしやすくなる利点がある。
両自治体によると、これまでの実証では、不純物の混入や回収率が課題となった。
長年一般ごみとして扱ってきたことやプライバシーの観点から、従来の捨て方を続ける住民も少なくないことが予想される。高齢者や障害者、子育て世帯はもちろん、転居・移住者向けの丁寧な周知が求められている。
◇
水平リサイクル 使用済みの製品を原料に用いて、同じ種類の製品を再生するリサイクルのこと。ユニ・チャームは、紙おむつの主要原材料の一つ「パルプ」をオゾン処理技術で未使用品と同等品質に再生する技術を構築。「紙おむつから紙おむつへ」は世界初の試みで、リサイクルパルプを原材料にした紙おむつを生産する。
あわせて読みたい記事
-
3人制バスケきょうアミュ広場で開幕戦 EX鹿児島「ホーム優勝狙う」 鹿児島市5月19日 09:30
-
社民鹿児島県連合、次期衆院選は選挙区勝利と比例1議席獲得が目標 定期大会で方針決定5月19日 09:00
-
拉致問題の解決へ「関心持ち続けて」 市川健一さん夫妻が曽於で講演、参加者に訴え5月19日 08:29
-
〈鹿児島県知事選〉自民県連、塩田康一氏後援会との連携を確認5月19日 08:00
-
南九州西回り道 阿久根-薩摩川内水引ICの早期完成を 薩摩川内で決起大会、800人集う5月19日 07:40
-
鹿児島県医師会 新会長に牧角寛郎氏「地域医療体制の向上に寄与する」5月19日 07:10
-
赤、青、黄色、オレンジ、緑…カラフル雨傘、館内彩る 霧島のホテル京セラで「アンブレラスカイ」5月19日 06:42
-
ハードワークで理想の攻撃体現したが…J2鹿児島ユナイテッド、要所の細かいミスでまたも零封負け5月19日 06:20
-
土寄せ忘れず、水やりは朝に 西出水小で県職員が出前授業、2年生に野菜の育て方のコツを伝授5月18日 21:06
-
5月半ばでこの暑さ…鹿児島の4地点で30度超えの真夏日、10地点で今年の最高気温を記録5月18日 20:55