鹿児島県指宿市の知林ケ島周辺で、アザラシの目撃情報が相次いでいる。指宿漁業協同組合などによると、大潮と中潮の干潮時に現れる砂州「ちりりんロード」付近や島の裏側で昨秋ごろから見かけるようになった。関係者からは「チリンちゃん」の愛称で親しまれている。

　同市の漁業田川敬三郎さん（７９）は２月下旬、ちりりんロード近くでワカメ漁をしている最中に遭遇した。海面から時折顔を出しながら、船の近くをくるくると回っていたといい「逃げる様子もなく、人懐っこかった」。その後も２回、漁の最中に見かけたという。

　撮影された動画を見た鹿児島市のかごしま水族館によると「アザラシで間違いない」。昨秋から情報が寄せられており、職員が調査に行って存在を確認した。

　最近では島の裏側で、浮きに寄りかかってくつろぐ様子も目撃された。漁業者にとっては、定置網の魚を“つまみ食い”するなど厄介な存在でもあるが、温かい目で見守っている。

　同漁協は、指宿港発着で遊漁船によるクルージングツアーを実施しており「運が良ければ見られることもある」と関係者。２９日に同港である「遊ぼ海フェスタ」でも５０人限定で受け付ける。