瀬戸内・嘉徳海岸の護岸工事差し止め訴訟 控訴審も住民らの請求棄却 高裁宮崎支部 原告側は上告意向

 2024/04/25 07:10
「不当判決」と書かれた紙を持つ関係者ら=24日、宮崎市の福岡高裁宮崎支部前
「不当判決」と書かれた紙を持つ関係者ら=24日、宮崎市の福岡高裁宮崎支部前
 鹿児島県瀬戸内町の嘉徳海岸で鹿児島県が計画する護岸工事は不必要だとして、住民らが県に公金支出の差し止めなどを求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁宮崎支部(西森政一裁判長)は24日、一審鹿児島地裁判決を支持して請求を棄却した。代理人弁護士らは「行政の主張を追認した判決で、裁判所の役割を果たしていない」などとして、上告する意向を示した。

 判決理由で西森裁判長は県は専門家の意見などを踏まえて判断しているとして「不合理な点があるとは認められない」と述べた。

 控訴人8人のうち2人は嘉徳集落に住む。判決後会見したジョンマーク高木さん(51)は「嘉徳だけでなく、日本の海岸をどう守っていくかという問題。今後も裁判を続けたい」と訴えた。武久美さん(48)は「県には協議の場を設けてほしい」と述べた。

 塩田康一知事は「住民の生命や財産を守るために早期の整備が必要だと考えている」とのコメントを出した。

 同海岸一帯は世界自然遺産地域を効果的に保全するための緩衝地帯になっている。県によると、2014年の台風で砂丘が奥行き最大約20メートル浸食された。県は長さ180メートル、高さ6メートルのコンクリート護岸の整備を計画。原告は自然環境に影響があるなどとして19年3月、公金差し止めを求めて提訴。鹿児島地裁は23年2月、請求を棄却し、原告側が控訴していた。