ふるさと納税返礼品の産地偽装、どう防ぐ? 鹿児島県内で寄付額トップの志布志市でも発覚…各自治体のチェック体制は

 2024/04/24 07:10
ふるさと納税返礼品の不適正表示が判明し、会見で陳謝する下平晴行市長(右)=22日午前10時、志布志市役所
ふるさと納税返礼品の不適正表示が判明し、会見で陳謝する下平晴行市長(右)=22日午前10時、志布志市役所
 黒毛和牛や茶、マンゴーなど豊かな食を背景に、2022年度の鹿児島県内へのふるさと納税寄付額は全国4位と上位にある。そんな中、県内トップの志布志市で返礼品の一部に豚肉や牛肉の産地偽装が判明し、制度の信頼を揺るがした。多くの寄付を受ける県内各自治体は、取引業者と密に連絡を取るなど偽装防止へ点検機能を高めている。

 徳之島町は、人気の「徳之島生まれの黒毛和牛」(徳之島牛)の産地偽装に特に気を付けている。現地で食肉処理できないという離島の事情もあるためだ。

 町職員は年1回は肥育や出荷を委託する鹿児島市の業者に足を運び状況を確認する。ほぼ毎日、電話やメールでやり取りし、品薄になれば注文受け付けを一時取りやめる。ふるさと思いやり応援推進室の堀貴久室長は「無理に注文を受ければ偽装につながりかねない。業者を信頼するしかない部分もあるが任せきりではいけない」と力を込める。

 964品目を扱う鹿屋市のふるさとPR課は定期的に書面で注意喚起する。その上で「事業者とのコミュニケーションを欠かさない」という。南九州市も情報共有の手段として「月間リポート」を市から事業者へメールで送っている。

 返礼品の産地偽装は全国的に見られたことから、総務省は昨年12月、法令順守を呼びかける通知を出した。それを受け、チェックを強化した自治体もある。
 マンゴーなどを扱う大崎町は2月下旬から、事業者を訪問したり、産地や出荷元が分かる書類の提出を求めている。町商工観光課は「これまでは登録時だけ確認していた。どれくらいの頻度で確認するかは今後検討したい」としている。

 22年度、志布志市に次いで県内2位だった南さつま市は、より厳しいチェック態勢構築へ関連要綱の策定を計画する。現在も肉類は自社農場や契約農家の食肉を加工する会社などに限定している。市商工水産課は「たとえ1業者でも不備があれば信頼を損なう。さらに管理を徹底する」。

 県内自治体への納税額は右肩上がりで増えており、22年度は前年度から24億円増の424億6000万円だった。県財産活用対策室の有村智子室長は「鹿児島の食に対する安心、安全を背景に寄付をいただいている。県全体で信頼回復に努めたい」と話した。

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