返礼品の産地偽装、7年間見抜けず ふるさと納税額全国15位の志布志市で何が…

 2024/04/23 06:49
蓬の郷に掲示されたおわびの文書=22日、志布志市有明町蓬原
蓬の郷に掲示されたおわびの文書=22日、志布志市有明町蓬原
 鹿児島県内トップのふるさと納税寄付実績のある志布志市は、約7年もの間、返礼品の一部が産地偽装の豚肉と牛肉だったことを把握できなかった。市は「昨年12月に総務省の通知があるまで産地証明に関する確認作業が不十分だった」としており、チェック体制のあり方が問われそうだ。

 市港湾商工課によると、提供業者の「蓬(よもぎ)の郷(さと)」は大隅産ウナギに県産の豚・牛を加えたセット商品を企画提案。当初、肉は市内の業者から仕入れる予定だったが、体制が整わなかった。市へ谷川食品(都城市)に変更する相談や報告はなかった。納品書には鹿児島県産と記載されていたため、気付かなかったという。

 大迫秀治課長は「志布志市内の業者が返礼品を取り扱う前提で考えており、商品登録証に仕入れ先の記入欄もなかった。蓬の郷も『鹿児島県産であればいい』との認識だった。結果として見過ごしてしまった」と話す。

 市は関連する返礼品の受け付けを3月19日に取りやめた。蓬の郷が出品する全ての返礼品の受け付けは同29日に停止した。4月4日には24年度の返礼品提供事業者として、蓬の郷と契約しないことを決定した。

 22年度の市のふるさと納税寄付額は62億1960万円で県内1位。全国では15位になる。23年度の寄付額はこれを上回る見込みだ。

 市は再発防止策として、仕入れ先を確認する仕組みの構築や、抜き打ちによる産地判別検査を行う方針。事業者を選定する際は、食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」方式の導入を段階的に必須にするかどうか検討する。

 市によると、22日午後5時現在「今後このようなことがないようにしてほしい」「返礼品を受け取ったのは2年以上前なので代替品は辞退する」など十数件の苦情や意見が寄せられている。

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