辺野古埋め立てに県外土砂活用案 憤る奄美の平和団体「戦争のためには一粒たりとも使わせない」 建設業者は悩む「経営には必要」

 2024/04/20 18:03
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、防衛省が軟弱地盤がある大浦湾側の埋め立てに鹿児島県・奄美大島で採掘した土砂を洗浄して使用することを検討しているのを受け、19日、奄美の平和団体からは「戦争には使わせない」と反対の声が上がった。

 沖縄県は2015年、特定外来生物の侵入を防ぐため、県外からの土砂搬入を規制する条例を制定。県によると16年、奄美で石材を洗浄し、那覇空港の増設工事に使ったのが条例施行後で唯一の例だ。

 奄美ブロック護憲平和フォーラムの城村典文事務局長(71)=奄美市名瀬=がメンバーの「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会」は18年、土砂の洗浄方法を防衛省にただしたが、回答はない。「奄美の土砂を一粒たりとも戦争のために使わせない」と力を込める。

 環境ネットワーク奄美の薗博明代表(89)=同=は「地元で調達できなければ奄美から採掘すればいいとの安易な考えは失礼だ。奄美の自然を壊していいのか」と憤った。

 一方、資材高騰に苦しむ奄美の建設業の男性は「経営のため辺野古が必要」。別の建設業男性は「経済的な利点と沖縄に基地負担を強いる後ろめたさとの間でせめぎ合う気持ちがある」と明かした。

 19日の定例会見で塩田康一鹿児島県知事は「沖縄県の条例に対応する形で必要な手続きを進めてほしい」と話した。

 防衛省によると、辺野古埋め立ては現在まで沖縄県内で土砂を調達している。一方、2013年の埋め立て申請書には、土砂の採取候補地としてすでに奄美が含まれていた。軟弱地盤が見つかり、20年に沖縄防衛局が提出した変更承認申請書で鹿児島県内の候補は、奄美、徳之島、鹿児島、大隅、南薩、北薩、姶良・伊佐の7地区となっている。

 防衛省は「新たに発注する工事の埋め立て土砂の調達先は現時点では決まっていない」としている。

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