教員は憤る。「定額働かせ放題に変わりはない」…50年ぶり給特法見直し→月額上乗せ「10%以上」にも落胆の色濃く「教職離れの抜本解決にならない」

 2024/04/20 11:33
 中教審特別部会が「教職調整額」を引き上げる案を示した19日、鹿児島県内の教員からは、長時間労働に見合った給与や業務負担の軽減を求める声が上がった。

 「正直10%か、と感じる」。鹿児島市内の40代中学校教諭は落胆を隠せない。「引き上げたことで、働き方改革の機運が下がらないか」と心配する。

 学年主任を務めるが、手当ては1日200円。休日を部活の指導に費やしても3000円程度だ。「若い人材を確保するためにも、労働に見合う給料にすべきだ」と提言する。

 県南部の小学校で教壇に立つ40代教諭は「本当に求めたいのは業務内容の見直し」と訴える。給食費を納めない保護者への対応などで、教材研究や授業準備が圧迫されるという。

 教科担任制の拡大も「人手不足で、どこまで実現できるか。専科教員が病欠の先生の代わりを務めたり、複数校を兼務したりするのが現状」と疑問視した。

 県教職員組合の田中誠書記長(53)は「調整額を引き上げただけで、『定額働かせ放題』に変わりはない」と憤る。教職員定数の増加や、担当授業数の削減などが必要と指摘。「ワークライフバランスを担保できなければ、教職離れの根本的な解決にならない」と話した。

 文部科学省は来年の通常国会に教員給与特別措置法(給特法)の改正案を提出する方針。残業代の代わりに上乗せ支給する月額給与4%相当の「教職調整額」を、10%以上にすることが柱。引き上げられれば1972年の施行以来となる。