あなたが逝った後、1度だけ咲いたピンクのイペー、今年は満開になりました…

 2024/04/20 07:02
ピンクと黄色のイペーを楽しむ子どもたち=18日、霧島市国分川内
ピンクと黄色のイペーを楽しむ子どもたち=18日、霧島市国分川内
 鹿児島県霧島市国分川内の前田賞子(よしこ)さん(80)の畑で、亡き夫が残したピンク色のイペーが4年ぶりに咲いた。既に見頃を迎えている黄色のイペーとともに、地域の人たちの目を楽しませている。前田さんは「色違いのイペーが同時に見られるのは珍しい」と喜ぶ。ただ共演が見られるのは21日ぐらいまでになりそう。

 前田さんの夫・久紀さん=享年79歳=は、南米原産の花木を日本中に広めようと研究や品種改良に力を尽くした。2019年8月に亡くなった後、賞子さんが遺志を継ぎ、南国分郵便局近くの自宅と畑で約10種100本以上を栽培している。

 ピンクイペーは、久紀さんが南米から約100種類の種を取り寄せて試験栽培を続けた品種の一つ。寒さに弱いため、久紀さんは生前、特に目をかけていた。賞子さんは「初めて花が咲いた時にすごく喜んでいたのを覚えている」と振り返る。

 しかし、5年前に久紀さんが亡くなった後に開花したのは一度だけ。今季は冬場の冷え込みが緩かったため、つぼみが傷むことなく越冬できた。黄色のイペーの咲き始めは4月6日。ピンク種は1週間遅れで開花し、18日に一気に満開となった。

 近くを通りかかった国分南小学校6年の吉川莉音さんは「春らしくて、すごくきれい」と笑顔。前田さんは「夫もこの風景を見たら喜ぶと思う。見られる期間は短いが、いろんな人に見てほしい」と話している。