「今年のGWは手ごたえあり」 コロナ収まり活況呈す観光地…人手不足に悩む旅館・ホテルが打った一手

 2024/04/18 18:02
中国からの宿泊客に対応する香港出身の新入社員(右)=16日、指宿市の指宿白水館
中国からの宿泊客に対応する香港出身の新入社員(右)=16日、指宿市の指宿白水館
 新型コロナウイルス感染症の5類移行後、初めてのゴールデンウイーク(GW)が目前だ。鹿児島県内のホテルや旅館の予約は順調に埋まりつつあるものの、宿泊業界ではコロナ禍による離職などで人手不足が続く。外国人材の活用やスポットワークといった多種多様な働き方を導入し、観光県のおもてなしを支えている。

 「昨年のGWより手応えがある」と話すのは、旅館霧島花紫(霧島市)の山口雄代表(43)。5月3~5日は既に満室で、5類移行前と比べ団体客が増えているという。ただ気がかりは従業員不足。コロナ期間中に2人が宿を離れた。

 同旅館の売りは地元素材にこだわる会席料理だが、配膳に回せる人手が足りず、全13部屋のうち3部屋は素泊まりでの案内が続く。山口代表は「全員を食事付きでお迎えできるのがベストだが、今のままではさばききれない」と明かす。

 旅行大手JTBの調査では、今年のGWの旅行者はコロナ前の9割超まで回復する見込み。一方で、帝国データバンクが3月発表した人手不足に関する調査では、「旅館・ホテル」の70%は正社員が「不足」と回答。全業種平均の55.6%を上回り、宿泊業界全体で大きな課題となっている。

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 16日、指宿市の指宿白水館では新入社員が研修に励んでいた。日本人の求人は芳しくない上、インバウンド(訪日客)の増加を見据え、11人のうち7人を韓国、フィリピンなどのアジア圏から迎え入れた。

 同旅館には2022年10月からの1年間で延べ10万4000人が宿泊したが、サービス低下を懸念して稼働率を7割程度に抑えた。外国人雇用に配送ロボットの活用、事務職の応援といった総力戦で、3月に全部屋で受け入れる体制に戻した。

 現在、正社員124人中1割超の13人が外国人。香港出身の新入社員・呉寶詩(ゴボウシ)さん(45)は「食や自然など鹿児島の魅力を世界のお客さまに伝えたい」と意気込む。金丸芳久常務(47)は「まじめで、訪日客対応としても心強い」と期待する。

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 外国人雇用以外の動きも見られる。ベトナムなど東南アジアからそれぞれ4人を雇用した霧島国際ホテルと霧島観光ホテル(ともに霧島市)では、必要な時間帯のみ足りない人数だけ雇う「スポットワーク」を導入する。

 清掃や客室の布団の準備といった短時間の研修で任せられる業務が中心。GW期間などの繁忙期をはじめ、体調不良による急な欠員時などでも活用でき、重宝しているという。

 霧島観光ホテルでは、今後も必要に応じて正社員採用を予定するが、佐藤健一総支配人(51)は「少子化の中、人材確保は難しくなっていく。あらゆる雇用形態を駆使したい」と話した。

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