公民館って選挙事務所に使っていいの? 自治会管理ならOK むしろ「貴重」と歓迎する事情も…

 2024/04/17 11:33
鹿児島市議選候補者の選挙事務所として使われた公民館=11日、鹿児島市(画像の一部を加工しています)
鹿児島市議選候補者の選挙事務所として使われた公民館=11日、鹿児島市(画像の一部を加工しています)
 「公民館を選挙事務所に使っている陣営があるが、問題ないのか」。14日に投開票があった鹿児島市議選に絡み、読者からこんな意見が届いた。市選挙管理委員会は、町内会などが管理する「自治公民館」の使用は法で規制されていないと説明。専門家からは「地域住民の同意をどう判断するかが問われる」との指摘もある。

 公民館には、市町村が設置し社会教育法の適用を受ける、いわゆる「公立公民館」と、地域が管理する自治公民館に大きく分けられる。鹿児島市の場合、公立公民館は中央公民館や谷山市民会館など14カ所。同法は公民館の政治利用を禁じており、市は申請があれば演説会の開催は認める一方、「選挙事務所を置くことはできない」との認識だ。

 自治公民館については、「政治的中立が原則だが、地元の同意があれば使用を規制するものではない」と説明する。

 今回の市議選でも自治公民館を使う陣営があった。市郊外を地盤とする候補の複数の支援者は「市選管や国にも聞き、問題ないと確認した」と強調。「市の補助金をもらっていれば話は別だが、ここは違う。町内会の役員会でも同意を得ている。20年ほど同じ場所を使っているが、苦情は聞かない」と話した。

 陣営が公民館を使う背景には、事務所に適した建物が周囲に少ないことに加え、使用料が町内会に入るという事情もある。

 選挙関連団体の使用料は1日6000円。今回は7日の告示から投開票の14日まで8日間の使用で、4万8000円が町内会に入ることになる。会の役員は「自主運営の公民館にとって貴重な財源」と語る。

 利用には慎重な手続きが必要との声もある。鹿児島大学法文学部の平井一臣客員教授(政治学)は「公民館は地域住民が共に使う空間。住民の同意は最低限必要」とし、「会議で決めたから良いという訳でなく、住民全体に周知して異論がないか確認することが重要」と話す。

 町内会などが特定の候補を応援しているといった「誤解を生みやすい」とし、「会の規則などで使用できるか明確化しておくことが望ましい」と提言した。