川内原発の運転延長「県民投票は実施せず」 鹿児島県知事が表明、意見募集へ 専門委から最終報告書、6月に住民説明会

 2023/05/27 07:30
塩田康一知事に最終報告書を手渡す県原子力専門委員会の地頭薗隆座長(右)=26日、県庁
塩田康一知事に最終報告書を手渡す県原子力専門委員会の地頭薗隆座長(右)=26日、県庁
 原則40年の運転期限が迫る九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の運転延長を巡り、鹿児島県の塩田康一知事は26日、マニフェスト(政策綱領)で「必要に応じて実施する」と掲げていた県民投票を行わない方針を示した。県民の意向を把握するための手段として、原子力規制委員会などに提出する県の要請書案についての意見を募集する。

 運転延長を検証する県原子力専門委員会の地頭薗隆座長は同日、九電の特別点検などを「適正」とまとめた最終報告書を提出。受け取った塩田知事が、その後の報道陣の取材で答えた。県民投票を見送る理由について「おおむね委員会の意見は集約されたと考えている。県民投票で○×を聞くよりは、県民の意見を具体的にしっかり聞いた方がいい」と説明した。

 県は、6月14日に専門委の検証結果に関する住民説明会を薩摩川内市で開くことも公表。同15日から7月14日まで、運転延長を審査する規制委と九電宛ての要請書案に対する意見を募集する。その上で、規制委が審査結論を出す前の夏から秋にかけて要請書を提出する方針。

 専門委は、規制委などに安全性向上を求める要請事項を記した意見書も提出。塩田知事は「報告書と意見書を尊重し、規制委と九電に厳正な対応を要請したい」と述べた。

 塩田知事は県民投票に関して「専門委の意見が集約されない場合に県民の意向を把握する手段として、最も適切と判断した場合に実施する」との見解を示してきた。一部市民団体は県民投票条例制定を目指し、6月初めから署名活動を始める予定。

 川内原発は1号機が2024年7月、2号機が25年11月に運転期限を迎える。九電は22年10月に、20年の運転延長を規制委に申請した。