地域活性化の貢献評価「地域再生大賞」 花の木農場(南大隅)に大賞 「農福連携」取り組み40年、障害者の社会参加拡大

 2023/01/29 07:30
豚舎を清掃する花の木農場の利用者ら=錦江町田代川原
豚舎を清掃する花の木農場の利用者ら=錦江町田代川原
 南日本新聞など地方新聞46紙と共同通信社が、地域活性化の取り組みを表彰する「第13回地域再生大賞~創ろう新時代、希望掲げて」の各賞50団体が28日、決まった。大賞(副賞100万円)には、多くの障害者らが農作物栽培などを担う「花の木農場」(南大隅町)が輝いた。過去に非行に走った人らも含めて社会参加を長年後押しし、加工品販売やレストラン経営を通じて交流人口拡大に貢献している。鹿児島県からの大賞選出は初めて。

 準大賞(各15万円)は、古書提供や学校図書館支援を通じて読書環境整備を進める「北海道ブックシェアリング」(北海道江別市)、海岸漂着ごみ対策として調査や環境学習ツアーに取り組む「対馬CAPPA」(長崎県対馬市)。

 副題に沿い、ポストコロナの時代を見据えた取り組みや、新たな担い手の活躍-といった観点から次の通り特別賞(各10万円)を選んだ。

 東の食の会(東京都品川区、東北での活動拠点は福島県浪江町)=きぼうのまち賞▽逆川こどもエコクラブ(水戸市)=エコフレンドリー賞▽ミライズ(新潟県新発田市)=歩いて楽しいまちづくり賞▽コリアタウン・多文化共生のまちづくり(大阪市)=ダイバーシティー賞

 このほか5団体がブロック賞、38団体が優秀賞に決まった。

 新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、東京での表彰式開催は見送る。南日本新聞社は2月17日、大賞の花の木農場の表彰式を鹿児島市の本社で開く。

■「農福連携」パイオニア、知的障害者ら100人が働く

 花の木農場は、福祉と農業を結ぶ「農福連携」の取り組みを40年以上前から続ける。約40ヘクタールの農場では知的障害者ら約100人が働き、20種類以上の農作物や畜産品、ソーセージやジェラートなど加工品作りに励んでいる。

 農福連携のパイオニアとして視察が相次ぎ、2021年に全国規模の「ノウフク・アワード」で初代グランプリに輝いた。

 1972年設立の社会福祉法人「白鳩会」が運営する。中村隆一郎理事長(54)は「障害者と共に育つ“共汗共育”という長年の実践が評価されてうれしい。今後も多くの人がフラットな人間関係を体験できる、交流と学びの農場として進化していきたい」と話した。