特攻に異唱えた「芙蓉部隊」の飛行服 顕彰団体に寄贈 名前?ゲートルに「マツ」の文字 当時、親交のあった男性の孫「戦後77年、あるべき所に」

 2022/09/28 11:38
寄贈された飛行服。左近充清典さん(左)と岩川芙蓉会の持田初穂会長=曽於市大隅町月野の市埋蔵文化財センター
寄贈された飛行服。左近充清典さん(左)と岩川芙蓉会の持田初穂会長=曽於市大隅町月野の市埋蔵文化財センター
 太平洋戦争末期、海軍岩川基地から沖縄戦に夜間出撃した芙蓉部隊の隊員の飛行服が、鹿児島県曽於市大隅町月野の市埋蔵文化財センター内の資料展示コーナーに展示されている。終戦時、月野村役場職員だった左近充景茂さん(1973年、83歳で死去)宅を訪れた隊員が「お礼の品」として置いていったという。鹿児島市に住む孫の清典さん(58)が顕彰活動に取り組む住民団体・岩川芙蓉会に寄贈した。

 清典さんによると、祖父の景茂さん宅には複数の隊員が泊まりに来るなど、日ごろ親交があった。終戦になって復員する隊員の一人が訪れて渡したらしい。

 戦後、景茂さんら一家は鹿児島市に移住。その後、清典さんの父景清さん(90)=終戦時13歳=が自宅に保管していた。Lサイズの大きさで色は茶系統。服と一緒にあったゲートルには「マツ」という名前らしき文字が糸で縫い付けてあったが、誰であるかは分かっていない。

 この8月、清典さんは芙蓉部隊を特集するテレビ映像を偶然見た。福祉施設に入所している景清さんに意思を確かめ、同月末、寄贈したという。「戦後77年。あるべき所に展示し、平和の尊さをかみしめてもらえれば」との思いからだ。

 展示コーナーには、戦死した芙蓉部隊の隊員の遺影などが飾られている。岩川芙蓉会の持田初穂会長(74)は「貴重な資料をいただき感謝。一人でも多くの人に見ていただきたい」と話した。

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