アマミノクロウサギ、交通事故死が過去最多 2021年は73件 世界自然遺産の奄美大島・徳之島

 2022/01/26 21:05
道路上に現れるアマミノクロウサギ=2021年4月、奄美市住用
道路上に現れるアマミノクロウサギ=2021年4月、奄美市住用
 環境省は26日、世界自然遺産に登録された奄美大島と徳之島にのみ生息する国の特別天然記念物アマミノクロウサギの2021年の交通事故死が最多だった前年の66件を上回る73件だったと発表した。「個体数の増加で生息域近くの道に出てくる確率が上がったことが一因」と分析している。

 世界遺産委員会は昨年7月の登録時に、事故対策の強化を要請。今年12月までに内容の報告を求めている。同省の事故対策は自治体と協力したチラシ配布や看板設置などドライバーへの啓発が中心で、実効性のある取り組みが改めて問われそうだ。

 一方で昨年10月に夜間通行の規制を始めた奄美市住用の市道三太郎線や、道路脇に飛び出し防止用のネットを設置した3カ所は、対策後の事故がゼロだった。

 事故死の内訳は奄美大島が最多だった前年を6件上回る56件、徳之島が18年の19件に次いで多い17件。両島で見つかった死骸174匹も過去最多で、事故死が4割を占めた。

 繁殖期や子ウサギが道路に出没する機会が増える秋から冬の事故死が多く、9、11、12月が各10件で最多だった。速度が出やすい直線道路や瀬戸内町の町道網野子峠線で多発した。