幻の「万世特攻基地」を綿密調査 初の空襲時、連合国側が空撮写真 資料を和訳・解説 鹿児島

 2022/01/17 11:55
連合国側が作成した万世飛行場と周辺の空撮資料(資料「SE KYUSHU」を和訳)
連合国側が作成した万世飛行場と周辺の空撮資料(資料「SE KYUSHU」を和訳)
 太平洋戦争末期の1945年に連合国側が撮影した、南さつま市加世田高橋の旧陸軍万世飛行場の航空写真資料の和訳解説ができた。縦85センチ、横60センチ。地域文化財の研究誌「南日本文化財研究」刊行会(同市)の橋口亘さん(45)がウェブで公開されている資料「SE KYUSHU」を元に作成した。

 資料はオーストラリアのモナシュ大学が所蔵する連合国軍地誌部の写真。地名の「唐仁原」から「Tojimbara Airfield.18 Mar 45」と記されており、特攻出撃前に飛行場が初めて空襲を受けた45年3月18日に撮影されたとみられる。

 飛行場の兵舎や格納庫を示すほか、南薩鉄道など攻撃目標になるような主要インフラが書き込まれている。「森林に覆われた砂丘」「(海岸が)おそらくぬかるんでいる」など周辺の地形についての記載もあり、画像を綿密に分析したと思われる。

 同市立図書館のほか、県立図書館などにも収めた。橋口さんは「連合国側の情報収集能力の高さや空襲で被害を受ける前の飛行場の施設がわかる貴重な資料」と話す。

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