「鬼滅」フォントで御朱印? よもや、よもやだ 制作会社「昭和書体」が照國神社に奉納

 2021/11/30 20:55
鬼滅の刃で使われた「闘龍書体」
鬼滅の刃で使われた「闘龍書体」
 人気アニメ「鬼滅の刃」でも使われている毛筆フォント(書体データ)を制作・販売する昭和書体(さつま町)が、書き下ろし文字「躍動」と67種類の書体が入ったDVDを、鹿児島市の照国神社に奉納した。“鬼滅文字”など奉納されたフォントは、六月灯の灯ろうや広報用チラシ、御朱印などで使われる。

 奉納は25日にあり、同社専属書家の綱紀栄泉(つなのり・えいせん)さん(86)と、息子の坂口茂樹会長(63)が神事に参加し、玉串をささげた。栄泉さんは「照国神社に来るのは10年ぶりくらい。(奉納できることは)ありがたいの一言に尽きる」と喜んだ。

 同社によると、鬼滅の刃で使われた「闘龍書体」は13年前に完成させた。アニメの影響もあって67書体累計で5万本が売れ、近年は台湾や香港でも人気が高まっているという。

 「足は少し悪くなったが、今でも毎日1時間は筆を握る」という栄泉さん。最近はホテルの食パンや焼酎ラベルなど、鹿児島県内企業から依頼された「書き下ろし」に励む日々だ。坂口会長は「地元の皆さんを相手に、もうけようとは思っていない。昭和書体の文字を、鹿児島県のPRや観光に役立ててほしい」と語った。

 御朱印などを手掛ける同神社神職の福ケ迫元さんは「栄泉さんの文字はまねしようと思ってもできない。文字が持つ深い味わいを、ぜひ感じてほしい」と話した。

 破魔矢や縁起物などを頒布する「幸先詣(さいさきもうで)」は12月1日から30日まで。栄泉さんが書き下ろした特別御朱印もある。