「大事な命と尊厳奪われた。なぜ助けなかった」 飲酒運転事故で犠牲となった学生の父 法廷で涙の訴え 鹿児島地裁

 2021/10/21 06:45
 鹿児島市大竜町の国道10号で2月、鹿児島大学1年の男子大学生(20)を飲酒運転で死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)と道交法違反(酒気帯び運転)の罪に問われた姶良市平松、建設作業員の被告(26)の裁判員裁判公判が20日、鹿児島地裁(中田幹人裁判長)であった。遺族が証人出廷し「亡くなった時の真実が知りたい」と訴えた。

 学生の父親は、被告が当初「(事故後に)ブレーキが利かなかった」と供述した点に触れ、「大事な命と人間の尊厳を奪われた。ぶつかった後になぜ助けてくれなかったのか。全てを思い出し伝えてほしい」と涙ながらに述べた。「息子の死を考えると苦しい日々。事件に向き合わないと前に進めない」と胸の内を語った。

 被告は遺族の言葉に涙を浮かべ、うなずきながら聞いた。この事件では道交法違反のひき逃げ容疑でも逮捕されたが不起訴処分となり、遺族が不服を申し立て、鹿児島検察審査会が15日付で「起訴相当」と議決した。21日は被告人質問などが行われる。