ミドリムシがマスクやおむつに 大量増殖、繊維素材生産技術を確立 宮崎大・林教授「プラスチック代わりに用途多様」

 2020/09/20 10:00
ミドリムシの繊維素材化技術を確立した宮崎大学の林雅弘教授=宮崎市の宮崎大学
ミドリムシの繊維素材化技術を確立した宮崎大学の林雅弘教授=宮崎市の宮崎大学
 宮崎大学農学部の林雅弘教授(57)=応用微生物学=は、単細胞生物・ミドリムシからつくる繊維状物質「パラミロンナノファイバー(PNF)」の生産技術を確立した。安価で成形しやすく、海中で分解し環境にも優しいのが特徴。林教授は「プラスチックの代わりに多様な用途が期待できる」としている。

 ミドリムシは藻類の一種で動物の性質も併せ持つ。PNFは、ミドリムシが体内で生成する貯蔵多糖「パラミロン」を原料とした。

 ナノファイバーは、パルプを100万分の1ミリ単位までほぐし繊維化した「セルロースナノファイバー(CNF)」が主流。しかし均一にほぐすのが難しく、コストの高さが難点だった。

 ミドリムシ研究を約35年続ける林教授は、パラミロンが安価な水酸化ナトリウム溶液で繊維化できることを発見。光合成に頼らず、ブドウ糖を与えてミドリムシを大量に増殖する方法も確立した。

 PNFは、おむつやマスク、フィルター素材などに使える。樹脂やゴムに混ぜ強度を上げることも可能という。愛媛県の企業が本年度から実証プラントを稼働。2021年度から本格生産を始める。林教授は「環境負荷が少なく時流に合った素材ができた。より広く活用されれば」と話している。